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2026.10.22むし歯治療

歯はいつ、なぜ失われるのか|データで見る抜歯の原因と、神経の関係

前回の記事では、治療した歯がなぜ弱くなりやすいのか、その仕組みをお話ししました。

今回はその続きとして、国の調査と、全国の歯科医院で行われた調査から、歯を失う時期と原因を数字で見ていきます。

何歳ごろから、歯を失いはじめるのでしょうか

厚生労働省が2024年に行った「歯科疾患実態調査」では、年代ごとの歯の状態が調べられています。

歯を1本以上失っている人の割合

  • 40〜44歳:16.6%
  • 50〜54歳:32.8%
  • 60〜64歳:60.3%
  • 75〜84歳:約90%
  • 85歳以上:96.0%

1人平均で失っている歯の数

  • 60〜64歳:2.7本
  • 70〜74歳:6.7本
  • 85歳以上:13.7本

1人平均で残っている歯の数

  • 75〜79歳:19.5本
  • 85歳以上:14.5本
図1:歯を1本以上失っている人の割合(年代別)。40〜44歳16.6%、50〜54歳32.8%、60〜64歳60.3%、75〜84歳約90%、85歳以上96.0%

40代になると、歯を失っている人の割合が目立って増えはじめ、60代以降は失っている歯の本数も大きく増えていく、という流れが見えてきます(図1)。

一方で、80歳で20本以上の自分の歯を保っている方も多くいらっしゃいます。「8020」については、こちらの記事で紹介しています。

歯を失う原因の第1位は、歯周病です

では、歯はどのような原因で失われるのでしょうか。

8020推進財団が2018年に全国の歯科医院で行った調査では、ある1週間で抜歯となった永久歯8,003本について、抜歯の主な原因が記録されています。

  • 歯周病:37.1%
  • むし歯:29.2%
  • 破折(歯が割れる):17.8%
  • 親知らずなど、埋まっている歯:5.0%
  • 矯正治療のため:1.9%
図2:歯を失う主な原因。歯周病37.1%、むし歯29.2%、破折17.8%、親知らずなど埋まっている歯5.0%、矯正治療のため1.9%、その他・不明9.0%

歯周病とむし歯で、全体の約3分の2を占めます(図2)。

どちらも、日頃のケアと定期的なチェックによる、予防と早期発見が大切な病気です。

年齢によって、歯を失う原因は変わります

同じ調査を年代ごとに見ると、抜歯の原因は少しずつ変化していきます。

  • 20代前半:親知らずなど埋まっている歯と、むし歯がほぼ同じくらい
  • 30代:むし歯が最も多い(4割台)
  • 40代〜50代前半:歯周病が少しずつ増えていく
  • 55歳以降:どの年代でも歯周病が4割を超え、第1位
図3:年代による抜歯の原因の変化。20代前半は親知らずなど埋まっている歯31.4%とむし歯31.1%がほぼ同じ、30代はむし歯が46%台で最多、40代から50代前半は歯周病が23.7%から33.6%へ増加、55歳以降は歯周病が43〜50%で第1位

若いうちはむし歯への備えが、年齢を重ねてからは歯周病への備えが、より大切になってきます(図3)。

神経のない歯は、割れて抜歯になったものが多くみられました

この調査では、抜歯された歯の神経の状態も記録されています。

  • 抜歯された歯の約6割(62.7%)は、神経のない歯でした(根の治療をした歯 46.5%、根の治療はしていないものの、神経が死んでいた歯 16.2%)。
  • 抜歯の原因のうち「破折」が占める割合は、神経のない歯では26.5%、神経のある歯では2.8%でした。
図4:神経のない歯・ある歯で抜歯の原因を比べた図。破折は神経のない歯で26.5%、神経のある歯で2.8%

報告書でも、神経のない歯では破折の割合が「顕著に大きかった」とされています(図4)。

前回の記事で紹介した研究も踏まえると、こうした破折が多くみられた背景には、神経を取ったことそのものだけでなく、それまでのむし歯や治療によって歯の量が少なくなっていることも関わっていると考えられます。

この数字から言えること、言えないこと

ここは、とても大切なところです。

この調査は、実際に抜かれた歯を調べたものです。

神経を取った歯が世の中に全部で何本あり、そのうち何本が抜歯になったのかを調べた研究ではありません。

そのため、

「神経を取ると何倍抜けやすくなる」

といったことまでは、この調査からは言えません。

言えるのは、

「抜かれた歯を見ると、神経のない歯は、割れて抜歯になったものが多かった」

というところまでです。

神経を残すこと、神経を取った歯を守ること

むし歯が深くても、お口の状態や症状によっては、神経を残せることがあります。

神経を残せないかを検討することには意味があります。

ただし、むし歯の深さや症状によっては、神経を残せないこともあります。

その場合の根の治療は、歯を抜かずに残すための大切な治療です。

神経を取った歯は、残っている歯の量や歯の種類に応じて適切に補い、定期的に詰め物や被せ物の境目、割れの兆候などを確認しながら、できるだけ長く使うことを目指します。

まとめ

国の調査では、40代になると歯を失っている人の割合が目立って増えはじめ、60代以降は失っている歯の本数も大きく増えていきます。

歯を失う原因は、歯周病とむし歯で約3分の2を占め、年齢とともに、むし歯から歯周病へと主な原因が移っていきます。

また、抜かれた歯を見ると、神経のない歯は、割れて抜歯になったものが多くみられました。

ただし、歯がいつまでもつかは、決まった年数ではありません。

大切なのは、

最初のむし歯をつくらないこと。
むし歯ができても、削る量をできるだけ少なくすること。
神経を残せる状態であれば、できるだけ残すこと。
そして、歯周病を防ぐこと。

そうした積み重ねが、ご自分の歯をできるだけ長く使うことにつながります。

R歯科医院は、1986年の開業以来、鎌倉市台のこの地で診療を続けてまいりました。現在も、予防と定期的な管理を大切にしています。

大船・鎌倉で、歯をできるだけ長く残したいとお考えの方は、予防歯科・メンテナンスについてもお気軽にご相談ください。

参考

  • 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」
  • 公益財団法人8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査 報告書」(2018年)

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