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2026.10.09歯周病

歯周病と全身の健康|これまでのまとめと、定期的に通う理由

これまで数回にわたって、歯周病と全身の健康について、糖尿病・タバコ・妊娠・誤嚥性肺炎・入れ歯などを取り上げ、それぞれ歯周病との関係や注意していただきたいことをお伝えしてきました。

今回は、そのまとめです。これまでの内容を短く振り返り、まだお伝えしていない研究にも触れたうえで、最後に「では、何をすればよいのか」をお話しします。

はじめに、一つだけ

この先を読んでいただく前に、お伝えしておきたいことがあります。

「関係がある」と「原因である」は、同じではありません。

たとえば、歯周病のある方に、ある病気を持つ方が多いとします。これは「関係がある」ということです。ですが、歯周病がその病気を引き起こしたのか、年齢や喫煙などの共通する要因が、両方に影響しているだけなのかは、それだけではわかりません。

さらに、「歯周病を治療すると、その病気が良くなる」と言うためには、もう一段階の研究が必要です。

この記事では、この三つを分けてお伝えします。

これまでの記事でお伝えしたこと

糖尿病

糖尿病があると、歯周病は起こりやすく、進みやすくなります。逆に、歯周病の治療が血糖のコントロールに良い影響を与えることも報告されています。日本歯周病学会のガイドラインでは、糖尿病のある方に対する歯周病の基本的な治療が強くすすめられています。歯周病と全身の関係の中でも、糖尿病は特に研究が進んでいるテーマです。(歯周病と糖尿病)

タバコ

喫煙は、歯周病を悪化させる生活習慣の中でも、大きなリスク要因とされています。歯ぐきの血流が悪くなることで出血が起こりにくくなり、歯周病に気づきにくくなることも特徴です。加熱式タバコについても、歯ぐきへの影響が少ないとする十分な根拠は、まだ得られていません。(タバコと歯周病/加熱式タバコ)

妊娠

歯周病のある妊婦さんでは、早産などのリスクが高いという報告が数多くあります。一方で、妊娠中に歯周病を治療することで早産などを防げるという、はっきりした根拠はありません。妊娠中の治療は、まず妊婦さんご自身の歯ぐきの健康のために行うものです。(妊娠中の歯ぐき)

誤嚥性肺炎と入れ歯

お口のケアによって、高齢の方の肺炎そのものが減るかどうかは、現時点では確実とは言えません。それでも、お口を健やかに保つことは、噛む・食べる・話すことを支えるという点で、それ自体に大きな意味があります。入れ歯を使用されている方は、基本的には夜は外すこと、そして毎日清潔に保つことが大切です。(口腔ケアと誤嚥性肺炎/入れ歯と肺炎)

まだお伝えしていないこと

ここからは、日本歯周病学会が2025年にまとめた資料をもとにお話しします。

心臓や脳の血管

歯周病のある方では、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞のある方の割合が高いとされています。ただし、歯周病がこれらの病気を引き起こしたり、進行させたりするかどうかについては、十分な根拠はないとされています。

一方で、歯周病の治療を行うと、血液中の炎症の目印であるCRPなど、動脈硬化のリスクを示す検査値が改善することが報告されています。

ここは誤解されやすいところです。これはあくまで検査値の話で、心筋梗塞や脳梗塞そのものが減ることまで確かめられたわけではありません。学会の資料でも、その点は今後の課題とされています。

関節リウマチ

歯周病のある方では、関節リウマチのある方が多いという報告があります。学会の資料でも、歯周病があると関節リウマチのリスクが高まる可能性が示されていますが、その根拠はまだ十分ではないとされています。

また、関節リウマチのある方に歯周病の治療を行うと、リウマチの勢いを示す指標が改善したという報告が多くあります。ただし、研究の対象となった人数は少なく、期間も短いため、より大きな研究で確かめる必要があるとされています。

腎臓、肝臓、認知症

学会の資料では、このほかにも、慢性腎臓病、お酒が原因ではない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD)、認知症と歯周病との関係が取り上げられています。いずれも、研究が進められている段階です。

慢性腎臓病は、歯周病と関係があるとする研究が多く、腎臓病があると、歯周病が起こりやすく、悪化しやすくなる可能性があるとされています。歯周病の治療で、腎臓の働きを示す数値が改善したという報告もありますが、研究の数はまだ少なく、今後の課題とされています。

お酒が原因ではない脂肪肝のある方では、歯周病が多いとされています。ただし、歯周病が原因になっているかどうかは明らかではなく、研究によって結果も分かれています。治療で改善するかについても、根拠はまだ不十分とされています。

認知症については、歯周病があると認知症のリスクが高まるという報告がありますが、十分な根拠はないとされています。また、歯周病の治療で認知症が良くなったという報告は、現時点ではありません。

学会自身の見方

この資料の冒頭では、学会自身が現状を率直に振り返っています。この8年ほどで、動物や細胞を使った研究は大きく進みました。一方で、人を対象に治療の効果を確かめる研究はあまり進んでおらず、多くの病気で、エビデンス(科学的な根拠)はまだ十分とは言えない、としています。

歯周病と全身の関係は、「何もわかっていない」わけではありません。ですが、「歯周病を治せば全身の病気を防げる」と言える段階にも、まだ至っていません。

全身への影響が確かでなくても

では、全身との関係がはっきりしないなら、歯周病のことは気にしなくてよいのでしょうか。

そうではありません。歯周病は、それ自体が、歯を支える骨が少しずつ失われていく病気です。全身との関係が今後どこまで明らかになるかにかかわらず、歯周病を治療し、予防する意味は変わりません。

むし歯も同じです。歯周病もむし歯も、初期には痛みなどの症状が出にくく、気づいたときには進んでいることがあります。ご自身では気づきにくい変化を見つけるためには、歯科で定期的に確認することが大切です。

定期的に通う意味

当院では、定期的に通っていただく日を、「歯をきれいにする日」だけではなく、お口の状態を記録し、前回と比べる日と考えています。

歯周ポケットの深さや歯ぐきからの出血、磨き残しの場所を記録し、前回の結果と比べながら、良くなっているところと注意が必要なところを一緒に確認します。最後に歯科医師が、むし歯や詰め物・被せ物の異常、歯ぐきの状態を確認します。

通っていただく間隔は、皆さん同じではありません。お口の状態やリスクに応じて、1〜6か月程度を目安に、お一人おひとりにご提案しています。歯周病がある場合には、まず必要な治療を行い、状態が落ち着いてからメンテナンスに移ります。(予防歯科・メンテナンス)

また、糖尿病などの持病で内科に通われている方は、現在どのような治療を受けているかを教えてください。それに合わせた歯科治療の進め方をご提案します。

さいごに

歯周病と全身の関係には、わかっていることと、まだわからないことが混ざっています。この記事では、その両方をできるだけそのままお伝えしました。

全身への影響がすべて明らかになっていなくても、歯周病を治療する理由は変わりません。主役は、あなたのお口そのものです。

R歯科医院は、1986年の開業以来、鎌倉市台のこの地で予防を大切にした診療を続けてまいりました。しばらく歯科に行っていない方も、持病がありお口のことが気になっている方も、大船・鎌倉でかかりつけの歯科医をお探しでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。

参考

  • 日本歯周病学会「歯周病と全身の健康 2025」
  • 日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版2023」
  • 日本歯周病学会「喫煙の歯周組織に対する影響」

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